学園と寮での生活について綴った日誌
petit four


青空の下、真っ白なシーツが何枚も並んで、風になびく。

少し離れたところで、これは誰かしら・・・活発で元気な声が聞こえてくる。

長い休暇を終えて戻ってきた学生たちの声。

なんだか、ようやく日常が始まった気がするわ。

やっぱり、学園には学生たちがいないと。




ふわり

爽やかな風とともに、甘い香りが漂ってくる。

「ああ、そろそろかしら・・・」

贅沢なバターの香りに、お砂糖の焼ける香り。

もうすぐ頃合だということを、香りが教えてくれる。



もうすぐ、エディントンの監督生が主催のティーパーティーの日。

第一寮エディントンのサロンで開かれるティーパーティーには、

我が、キングス・カレッジ・オブ・ヘイスティングスの生徒に加え、他校からの生徒も招かれ、それぞれが交流を深めます。

姉妹校であるウェントワース女学院からも、毎年女生徒たちが招かれるのですが・・・

今年はどんな子達が来るのかしら。

楽しみだわ。

あくまで主催は監督生。

けれど、今年の監督生もとても優秀だから、きっと無事にティーパーティーを成功させることでしょう。




オーヴンを開けると、程よい焼き色のついたケーキが顔を見せる。

丁寧に向きを変えて、もう一度オーヴンの中に入れる。

「あと少しね。」

焼きあがったら、Ms.オーウェンやMs.キャニングを呼んで味見してもらいましょう。

そう、私ができることは、お手伝いくらい。

頑張っている生徒たちのために、美味しいお菓子を沢山焼きましょう!

ティーパーティーにぴったりな、プティ・フールや焼き菓子・・・

ふふ、とっても楽しみだわ。

このお菓子に合う紅茶は・・・・・・
13:25 寮母 アニエス・フレデリーク・ラファネル - -
court repos



ぽつり、ぽつりと、外から雨音が聞こえる。

あらやだ、また雨……
雨の日の学園は風情があって好きだけれど、お洗濯ものが乾かないのは困りものね。

しばらくの間、青空の元で白いシーツを眺めることはできなそう。
残念な気持ちと、少し鬱陶しい湿気が、私のブロンドの髪に恨めしそうにまとわりつく。
何とか雨を逃れたシーツを畳み、運ぼうと持ち上げると……

「っきゃあ?!」

思わず叫んでしまう。

だって、白いシーツの上に、緑色の影!

私の声に反応してかしないでか、緑色の影の持ち主は、元気にぴょんと跳ね、床に落ちる。
のそのそと扉まで歩く後ろ姿は、何だか笑っているみたい。
その姿を目で追っていくと……
あら、扉のところに誰かいる……?

「ミスター・ハウエル!」

「っと! 逃げろ!」

声を掛けるや否や、緑の正体――小さなアマガエルを拾って、彼はくすくす笑って走り出す。

もう……そんな風に走っていると、またミス・オーウェンに叱られるわよ。

ため息をつくものの、彼の小さな悪戯のおかげで、何だか鬱陶しい気持ちが軽くなった気がする。
ふふ、彼の悪戯は人を明るくさせるわね。

さて、気持ちを切り替えて……来月にいらっしゃるお客様のための準備もしていかなくちゃ。
そうね、ミスター・ハウエルにも手伝ってもらおうかしら。
……きっと逃げられてしまうから、ミスター・マードックにも、お願いしましょう。

誰も居なくなったシーツを持ち直して、歩き出す。
相変わらず外は雨だけれど、気持ちの良い空気を後に残して……

10:32 寮母 アニエス・フレデリーク・ラファネル comments(0) trackbacks(0)
a lingering scent

澄み渡った青空を見上げる。

今日はいいお天気!
先ほど干したばかりの洗濯物も
あっという間に乾いてしまうわね。

私が、キングスカレッジオブヘイスティングスへ来て、もうすぐ2年。
前任のミス・プライスと引き継ぎをしたのも、このくらいだったかしら。
あら、今はミス・プライスではなかったわね……ふふ。

もうすぐ……2度目の卒業生を見送る季節……

これからも、たくさんの生徒たちを見送って
たくさんの生徒たちを出迎える。

寂しいことではないわ。
そう、とても誇らしいこと。


そうね…
今日はお天気も良いのだから、今のうちに少し整理でもしておきましょう!

少しひんやりとした空気の倉庫に行き、棚を開ける。

「あら……?」

ふと、小さな紙包みに目が留まる。
何かしら。

紙包みを、ゆっくりと開くと
出てきたのは、立派な紅茶の缶。

ダージリンのファーストフラッシュ……
まぁ、最高級の茶葉じゃない。
まだ少し残っているみたいだけれど……
ミスター・ソーンダイクのものかしら?

ん……いえ、これは3年ほど前のもの。

珍しいわね。
誰か……卒業生の忘れものかしら。
いったい、どんな生徒でしょう。

ミス・オーウェンならご存知かしら……
ふふ、あとで聞いてみましょう。

さぁ、お片づけしなくちゃ。
09:32 寮母 アニエス・フレデリーク・ラファネル comments(0) trackbacks(0)
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