学園と寮での生活について綴った日誌
SweetGame


「……あぁ〜〜……なんでこうも、暑いんだ………」


オープンキャンパスから数日。

静寂に包まれた寮のソファでひとり、ため息をつく。


ハウエル先輩に駆り出されたのだから、まぁ仕方がない。

隙を見て、麗しいレディ達をお茶にでも誘い出してやろうかと思っていたが、
その目論みは見事に水の泡と消えた。

その上、これからを楽しむ娯楽も見つからない。



「…なんで、あんなに忙しかったんだよ……」


当日は受付担当で、世間話程度の会話しかできなかった。

その後きっちり片付けまで手伝わされ、お陰で翌日は疲労困憊。

そうこうしているうちに、かろうじて寮に残っていた生徒も
その殆どが、ようやくといった表情で帰省していった。




即ち今、この休暇を有意義に過ごす相手<ターゲット>がいない、ってわけだ。




いや、狙いがいない訳ではない。

でも、今は手を出す時じゃないんだ。

…手を出せない、と言った方が正しいかもしれないな。




『恋愛は、いわば狩り<ハンティング>だ。』



昔、こんな事を言った先輩がいたらしい。

…そうだな。本当に的を得た言葉だと思うよ。

俺も今、そのゲームのプレイヤーだから、
余計にそう思えるのだろう。


俺の対戦相手は、マーカス。

ターゲットは、マルグリート。

もちろん本命は大物だが、他の獲物も狙うさ。

それがゲームだからな。

同じ獲物を狙っているのを、お互い知っている。

だからお互い、牽制し合う。


―このキスマークは牽制にはならないさ。

それが本命による物でなければ、何の意味も持たない。

そもそも、俺もあいつも、そんな“痕”が付いているなんていつものことだ。

「見える所にキスマーク付けられるよりマシ」?

…はっ、よく言うぜ。

見えない位置にキスマーク付けられて気付かなかったアホは、どこの誰だった?




勝敗を決めるのは、本命ただ一人。

時には、本当のような嘘で。

時には、誇張された真実で。

相手より、自分が優位に立てるように。



だがこの標的、そう簡単に仕留められないから困ったものだ。

顔色ひとつ変えずに、ひらりとかわされてしまう。

―俺とマーカスが牽制しあってるのが、馬鹿らしく思えるくらいに。


今回は…マーカスにアドバンテージを奪われたらしい。

くそっ、オープンキャンパスの前夜にマルグリートと一緒に居た、だって?

いや、冷静になってみれば…何をしていたか、聞いていない。

あいつの言っていた事は本当なのか?

でもマルグリートは本当だと…

なんで、よりによってマーカスと?

それに……ド―ソン先輩。

なんでマルグリートはあんなにも容易く部屋に招き入れた?

それも自分から……先輩の腕を取って。




暑さではっきりしない意識を、もう一つ息を吐いて呼び覚ます。




―タイミングと戦法が、全て



さぁ、次の一手はどうすべきか。

まず手始めに…マーカスに爪痕を残した猫でも探してみようか。
15:00 (5ago)トマ・ベルナルダン・ユーン - -
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