学園と寮での生活について綴った日誌
a problem child



――はぁ... ...。


ため息をつく回数は、

通常学期中よりも、
夏期休暇中のほうが多いのではないか。


我が寮・エディントンに残った9人の生徒。

毎年のことながら、個性的な面々の9人――




監督生ながら、生徒間での交際に
”少々”・問題ありと報告されている
7年生のサリヴァン・ブラッドリー・ドーソン。

彼はまだいい。

報告に聞くところでは...
...まあ色々とあるようですが

それでも私に手を焼かせるような”問題”は今のところない。


オルグレンと違い”うまく”立ち回れる彼のことは
私としえては さほど問題視していない。




ミスター・オルグレンに関しては
最終学年になるのにあの自信の無さが... ...!!!

”Algren”...といえば名門オルグレン家。

しかも彼は長男!

実は彼のご両親からはたびたび手紙を頂いているのだが...

毎度なんと返せばいいものやら頭を抱えては
彼の為、しいてはオルグレン家ご両親の為に
ありのままの実情を伝えるようにしている。

あと一年。

あの厚い繭に包まれた蛹は
いつか羽化して華々しく羽ばたいていくのだろうか??



同様に「私の手を焼かせることがない」という面で
安心して見ていられるのは

物分りの良さで教師陣から評判の
6年生のミスター・マードック

他の生徒との関係が良好な
6年生のミスター・バルフォア

5年生のミスター・ヴァルトエック
3年生のミスター・フォンテーン
彼らも特に問題行動の報告があったことはない

3年生のミスター・クロイツァーは
やや物言いがハッキリしない点が気になりますが...

絵に描いたような問題行動ばかりの
6年生のミスター・ハウエルよりは”まし”でしょう



――残るは――

5年生になるミスター・ソーンダイク。



...まあ、彼については気になる点が幾つかあるものの
目を瞑ることにしましょう。


ミスター・ドーソンと同じく

”自ら問題行動を起こさない”というだけでなく

自分の起こす事象・他人からの干渉について

”どう立ち回るか?”
”どう対応するか?”。

この点では、
実は後者の方が社会に出たとき
自分の将来を決めていく重要な一点になるはずです。



...特に彼にとっては... ...。



「バターーーーン!!!」


廊下で何かが派手に転倒する音がした。

あの音は、きっと...



またひとつため息をついて、
デスクから立ち上がった。

14:16 寮監 スザンヌ・ヒルデガード・オーウェン comments(0) trackbacks(0)
summer vacation


――はぁ... ...。



6月。

夏期休暇中に我が第一寮・エディントンに残る
生徒のリストに目を落としてため息をつく。


基本的に外出の認められない全寮制の当学園では
大半の生徒がこの夏期休暇を利用して実家へ帰省することになっている

...にも関わらず、毎年かならず寮内に残る生徒は一向に減らない。



今年寮内に残る生徒はといえば


6年生の
サリヴァン・ブラッドリー・ドーソン
ジェイミー・ウルフガング・オルグレン

5年生の
イアン・デズモンド・マードック
ロバート・モーリス・ハウエル
ランディ・ウーゴ・バルフォア

4年生
グレン・バートランド・ソーンダイク
ブルクハルト・シュタッフス・ヴァルトエック

2年生では
アレン・ウィルフレッド・フォンテーン
ハインツ・ヴァルデマール・クロイツァー


他の寮にも、また 多数... ...


その理由はといえば、良家の子息・子女ならではの
複雑な家庭環境による事情を抱える者も多いが...

ミスター・オルグレンの残留理由はおきまりの

「乗り物酔い」

...まあ、他の生徒に押し付けられた諸用の処理という面もあるのでしょう

...いえ... それも最上級生という立場にあっては またひとつ問題ですが...




――暑い、長い夏は もうすぐそこか... ...


席を立ち、窓を開けると

生徒達の活気のような弾んだ風が吹き込んできて

机上の書類を吹き飛ばしていった
 

12:03 寮監 スザンヌ・ヒルデガード・オーウェン comments(0) trackbacks(0)
Time and tide wait for no man


―待ちなさい、ミスター・オルグレン。


廊下の先を歩く彼の名前を呼ぶと、
猫背の背中がびくっと震えて立ち止まった。

いつもの光景。



―夏期休暇中あなたにお願いした書類の整備ですが...


ツカツカと彼のパーソナルスペースまで近づき、

その見慣れた気弱な瞳がこちらを振り返ったとき

ふと 気付く。



「...な、なんでしょう、ミス・オーウェン」


歩と共に言葉を止めた私に対し、
怯えたような彼の声が
私の目線よりも高い位置から発せられる。



―こちらのリストの分も、新にお願いします。まず...


何事もなかったかのように言葉を続けたけものの
内心、相手に怯んだ自分に少し動揺を覚えた。


いいえ、オルグレンだけじゃない、毎年のこと...



生徒が教師の歳を越す、ということは永遠にない。

私たちは永遠に彼らの教師であり、

彼らもまた永遠に私たちの生徒だ。


けれど、身体的にはあっという間に追い抜かれ、
気がつけばその差はどんどん大きく開かれていくばかり。

6年生ほどにもなれば 大抵の女性教師など
易々と見下されるほどの身長まで成長してしまう。



入学以来 何度も「しっかりなさい」と叱りつけてきた彼も

いよいよ次の夏期休暇が終われば最終学年か...


光陰矢のごとし

...そんな言葉が頭をふとよぎる


私はひとつ咳払いをして、
自分の声・自分の目線に
その身長差を埋めるだけの気迫を込めた
19:19 寮監 スザンヌ・ヒルデガード・オーウェン comments(0) trackbacks(0)
time goes by


中庭をぬける渡り廊下で
ふと足元に目がとまり 歩を止めました―


――雪解けの間から、小さな芽が出ている


冬も終わりが近づき
新しい季節が近づいています。


ああ、またひとつ季節がめぐったのね...


体験入学の生徒とお客様をお招きした
あの夏の日からも

もうどれくらいの日が経ったのかしら?


あの日 緊張した面持ちで
この学園に足を踏み入れた彼らも、
今ではすっかりこの学園に馴染んでいる


...むしろ、少し初心を思い出してほしい程です。



少しため息をついて想いを巡らせてみる



今はこうやって生徒を指導している私にも、
彼らのような時期はたしかに在った

それが10年経ち、学ぶ側から教える側へ


そして彼らもまた、
あとほんの少しの時が経てば...

私たちと変わらないほどになるのでしょうね


彼らの

10年後

20年後

30年後は.....


教師というのは見送るばかりで
彼らの行く先を見届けることは出来ないけれど

それでも、
厳しく叱りながらも

...いつもあなたたちのよりよい明日を祈っていますよ。



校舎のどこかから、Mr.ワイラーの活発な声が聞こえてくる

この中庭までひびいてくるほどの声量に
注意しにいこうかとも思ったのですが――


...今日だけは見逃しましょうか


めずらしくそんな気分になった、2月の日の午後。
 
14:51 寮監 スザンヌ・ヒルデガード・オーウェン comments(0) trackbacks(0)
秋の過ごし方。


鮮やかな樹木の色も
徐々に落ち着いた色へと変わりはじめ

庭を吹く風も
「涼しい」という形容から「寒い」という形容へ。


秋ですね。


秋は、過ごしやすい気候がつづくために
祭や文化活動などの行事が多く行われ

「文化の秋」

という具合に、さまざまな言葉が冠されます。



ヘイスティングスの生徒たちも、
それぞれの秋を過ごしているようです。



芸術の秋。

―これは、Mr.ルーベンスによく似合う言葉。


時おり音楽室から聴こえてくる彼のピアノは
午後のティータイムを心豊かなものにしてくれます。

ああ、
Mr.バルフォアとMr.ソーンダイクの二重奏も、
最近は少しずつ息が合い始めたようで
なかなか素晴らしいと思います。



それから、食欲の秋。


これは.....
学園にいる間中、お茶とお菓子ばかり嗜まれている
監督生さんにお似合いかしら?

3人のうち、誰とは言いませんが.....。



スポーツの秋

これは、Mr.ワイラー。



読書の秋

この言葉は 司書のMs.キャニング

それから彼女とよく交流している
寮母さんのMs.プライスにもお似合いですね。



さて

私はどんな秋を過ごそうかしら?


...文化の秋を満喫できるような時間があればの話ですが。
 
13:30 寮監 スザンヌ・ヒルデガード・オーウェン comments(0) trackbacks(0)
長期休暇末によく見られる光景



長かった夏期休暇も終わり、
今週から新学期がはじまりました。


先週の終わりには...

課題の終わっていない生徒が
我先にと わたしの部屋を次々と訪ねてきました

わたしは
質問することをためらっているのかとばかり思っていたのですが、
どうやらそれ以前の問題であったようですね。


単に、「取り掛かっていなかった」と。


そうですね 彼らにはこの言葉を贈りましょう

Don’t put off
until tomorrow what you can do today.


「今日出来ることは、明日に延ばすな」



.....もっとも

不明な箇所があっても わたしの部屋を避け続け
ずっと他の生徒をたよっていたMr.オルグレンには

なにか別の理由があるようですが.....


彼にはもう少し理解度を高めてもらうために、
今期は 課題の点数が基準に満たなかった場合
マンツーマンの集中講座を開講しようかしら。



そういえば、夏季休業終了間際に
卒業生のMr.ガスパールとMr.ユーンがエディントンを訪れてきました。

彼らは以前のエディントンの監督生。

彼らのときには 週に何度も、
放課後 わたしの部屋のドアがノックされたというのに...

今年の監督生のうち2名はいったいどうしたものかしら??




監督生といえば、先日

Mr.スペンサーを廊下で見かけ 用事を言いつけようと思ったら
次の瞬間には視界から消えているという不思議なことがあったのですが...

まあ、これはわたくしの勘違いでしょうね。

10:30 寮監 スザンヌ・ヒルデガード・オーウェン comments(0) trackbacks(0)
Ask a question...


いいお天気が続いています.....

すこし不安定ではあるけれど
鬱陶しい雨の季節が やっと過ぎ去ってくれてありがたいものです。


とはいえ かなり気温の高いこの季節。

わたくしも、仕事は
比較的 楽に過ごすことの出来る午前中に片付けるよう
心がけております。


それにしても.....


夏期休暇に入ったとたん
わたくしの部屋に 質問に訪れる生徒はぱったりと途絶えました。

もちろん、生徒の多くが帰省中ということもあります。
ですが、エディントンにはまだ数名の生徒が残っていたはず。


たまに訪ねてくるのは

監督生のスペンサー、
成績優秀なルーベンス、
それからなぜか 告げ口の多いソーンダイク...

この3人のみ。


どういうわけでしょうか?

課題に、なんの不明な点もないということでしょうか?

ずいぶん皆 優秀になったものです。



Ask a question and you're a fool for 3 minutes,
don't ask a question and you're a fool for the rest of your life.

という言葉があります。

分からない時は後に延ばさず、その場で質問を。
例えば3分の少しの恥ずかしさに耐えれば、貴方は
一生愚か者でいる危機は回避できる ということです。

Better to ask the way than go astray.
道に迷うよりも、聞いたほうが良い。

とも言いますが

東洋にも、同じ意味の「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という言葉があります。



皆、質問をすることを躊躇しているのでしょうか?

言葉のとおり、質問をすることは
恥ずかしいことではないというのに.....



それとも、何かほかの理由があるとでもいうのかしら?
 
13:30 寮監 スザンヌ・ヒルデガード・オーウェン comments(0) trackbacks(0)
雨だれ



もうすぐ新学期だというのに
この季節になってもまだ雨が降り続いています。

オープンキャンパスの日にも、時折り雨が...。


ゆったりとした夜に降る雨などは嫌いではないのですが、
仕事中の大雨というのは なんだか気分を急かされるようで.....

ペースを崩されるのは 苦手です。



この時期 なぜか学園内には問題が多発しています。


差出人不明の手紙。

消える手紙。

生徒間に見え隠れする陰謀・嫌がらせ。

寮内に仕掛けられたいたずら.......


ただでさえ忙しい新学期前ですのに、
これだけの問題と 日々続く大雨に、私もどうしてもピリピリしてしまいます。


報告・連絡・相談は、素早く そして明確になさいと
常日頃 あれだけ生徒たちに言い聞かせているのに!!


.....まあ
ふだん 3人の監督生の中でも あまり目覚しい活躍のないチャールズが
珍しく寮内の問題の解決に、自主的にとり組むと言いだしましたから
たまには彼にまかせてみましょう。

ミス・プライスも、独自の裁量で 生徒たちを戒めているようですが
彼女にまかせておけばきっと問題はないでしょう。


あとは.....

入学式に向けての準備ですね。

生徒たちにまかせてある準備のすすみ具合を
監督生のスペンサーから 学園長に報告させましょう。

スペンサー!

ちょっといいかしら。

15:00 寮監 スザンヌ・ヒルデガード・オーウェン comments(0) trackbacks(0)
来週のオープンキャンパス



夏季休暇も残り半分程となりました―

さて、来週は.....
新入生とご来賓のお客様をお迎えしての
オープンキャンパスがあります。


新入生は、新しい制服に袖をとおしての始めての来校となります。


今の時点でリストをチェックすると、
例年にも増して 新入生の数は多い様子です。


ご来賓のお客様も多数。
きっと教師だけではおもてなしに手が回らないのは明確です。


ということで、今年は残った寮生数人に
お客様のおもてなしを任せることにしました。


会場は第一寮の エディントン。


新入生にも、お客様にも、
これが一番我が学園をてっとり早く知る手段となるでしょう。


ただ、何分 個性の強い生徒たちが多いので.....
不安は残ります。


学生たちのお手本となるべき模範生、プリフェクトの
ハウエル、ラングフォード、スペンサー

三人にも、新入生とお客様の案内を言いつようと思っているのですが...

ミス・プライスから報告のあった
寮での不可解な出来事も気になります。


オープンキャンパスはいよいよ来週末。

なにごともなく終わることを祈るばかりです。

17:00 寮監 スザンヌ・ヒルデガード・オーウェン comments(0) trackbacks(0)
第一寮、エディントン


キングス・カレッジ・オブ・ヘースティングスへようこそ。

私は第一寮 エディントンの寮監、
スザンヌ・ヒルデガード・オーウェンと申します。


こちらの学園には、
1年生から7年生の生徒が在籍しており、
日夜 勉学に励みながら
学園に併設された寮で生活を共にしております。

寮には第一寮から第四寮までがあり、
私はこの第一寮 エディントンの寮を受け持っております。


この第一寮は
名家のご子息・ご息女のみが入寮を許されており、
四つの寮の中でも とくに伝統のある寮となっております。


現在は夏季休暇中のため、
ほとんどの生徒は寮にはおりませんが 数名の生徒が残っております。


良くも悪くも知恵がはたらく2年生のグレン。
裏表のない、まっすぐな3年生のランディ。
少し頼りない 4年生のジェイミー。
明るく活発で勢いのよい 5年生のルーク。
聡明で落ちつきのある6年生のブレア。

そして・・・

あと、数名 寮生のお手本となるべき模範生・・<監督生>がおります。


皆、優秀で 個性あふれる有望な若者です。


一度訪れてみてください。
ご案内いたします。
15:00 寮監 スザンヌ・ヒルデガード・オーウェン comments(0) trackbacks(0)
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