学園と寮での生活について綴った日誌
reminiscence



煩わしいだけだと思っていた学園生活も
あと少しで終わりを告げようとしている―


何かを得て
何かを失って

そうして人は大人になっていくのだろうか?


野暮なルールに縛られたこの箱庭で
自由を渇望し未来を得るために足掻いた結果

本当は守らていたんだと
気づかされ苦笑する

自由と責任は表裏一体

本来の自由を得たとき
同時に課せられる大きな責任


その重みに耐えられるだけの力を
果たして持っているのか―
一抹の不安が脳裏をよぎる

しかし
この門を出た瞬間から自らの足で
歩んでいかなくてはならない

未来はきっと―




――ぁん?なんだ、アルマンか


物思い?ハハ・・このオレが?
まさか!

ランディ達と肝試しをしようって話になってさ
昨日の夜、皆で音楽堂に忍び込んだんだ


そうしたら・・・誰もいないはずの音楽堂から
チェロの音色が・・・・


クク・・ッ
何、真剣な顔してんだよ!
冗談に決まってんだろ


イテッ・・!


子供じみた?
フ・・こうして馬鹿なことしていられるのも
あと僅かだろ


まあ、そういうことで
大目に見てくれよ、監督生殿!

17:35 (30ago)アルフレッド comments(0) trackbacks(0)
liberation

春一番と共に届けられた二通の手紙ー


丁寧に蝋封された萌葱色の上品な封筒から
薔薇の香りが仄かに漂う

一週間とあけずに届く手紙

丁寧な文字と温もりある優しい言葉

他愛もない日常を綴っただけなのに
彩り豊かに輝いて見えるのは
彼女の文才か、それとも・・


そして、もう一通


封筒の片隅に「Maclaine」と記された
薄汚れた封筒

見覚えのある筆跡に鼓動が高鳴る


ああ・・

貴女はようやくラングフォードの名から
貴女を縛っていた鎖から
解き放たれたんですね




――なんだよ、チャールズ、ノックもしないで・・!


した?
いや、聞こえなかったよ、全然


え?
ああ・・これは、何でもない


隠すなって・・
オマエには関係ないだろう


何だよ
いきなり不機嫌そうな顔して


はいはい
お察しの通り
オマエのかわいい妹からの手紙だよ


何でって・・
別に面識があるんだから
手紙のやり取りをしたって不思議じゃないだろ


どうせ、オマエのところにも・・



・・・って、まさか、届いてないのか?


アハハハ!

なぁ、チャールズ
ちょっと、待てよ

待てってば!
15:14 (30ago)アルフレッド comments(0) trackbacks(0)
become sentimental


秋の訪れを感じさせる今日この頃―

いつもと変わらぬ
平穏な日々が戻ってきた学園内


生徒間の小さないざこざや
小競り合いは日常茶飯事だが

そんな瑣末な事にさえ
愛おしさを覚えるのは


センチメンタルな
この季節のせいなのだろうか?





――よぉ、チャールズ!

ティータイム・・・もう、そんな時間か


今日のスウィーツは随分と美味そうだな!
もちろん、そのトレイの紅茶は
オレのために淹れてくれたんだろ?



アハハハ!
そうあからさまに嫌そうな顔するなよ


でも、ティーカップを3つものせてりゃ・・・


え?


ガスパール先輩とユーン先輩が?


ああ

この間、会った時に軽く誘ったよ


たまには、サロンでお茶でも!ってな




へえ・・そっか


じゃあ、このトレイはオレが届けてやるから
オマエはもう一つ紅茶を用意してきてくれ



もちろん、オレの分に決まってるだろ?
08:31 (30ago)アルフレッド comments(0) trackbacks(0)
reminiscences


来週から始まる新学期に向けて
続々と戻ってくる生徒達―

入学式の準備と相俟って
俄かに騒がしくなる寮内


長いようで短かった夏季休暇が終わろうとしている


今年の夏も色々な事があった
きっと、生涯忘れないだろう


いつか―


笑って話せる日が訪れるのだろうか?




――あれ?
ガスパール先輩!

それから、ユーン先輩?
お久しぶりです!


どうしたんですか?
二人でエディントンに顔を出すなんて珍しい・・


ああ・・・入学式の準備の手伝いですか


オレ?
元監督生のお二人ならご存じでしょう?
仕事は山積み・・・


と、言いたいところですが、
先日の悪戯が何故かミス・オーウェンにバレて
謹慎中です


ま、ラクで助かるんですけど


後でサロンに寄って下さいよ!
たまには一緒にお茶でも・・


それじゃあ、先輩方、後ほど!!
14:24 (30ago)アルフレッド comments(0) trackbacks(0)
restriction


 名家中の名家―

人はラングフォード家について語る時
そう賞する


そして、その家の長男に生まれたことを羨ましいとも・・


どこが羨ましいのだろうか

将来を約束されているということは
自らに選択肢がないということだと
何故、皆、気づかないのだろう




二歳上の姉が行方不明になったという手紙が届いたのは
姉の失踪から一カ月後だ


両親は事件に巻き込まれたのではないかと
ひどく心配をしているが


果たしてそうなのだろうか



確かに良く出来た姉だった


ラングフォード家は彼女が継ぐことが
ほぼ決定していた


その人生に
決められた未来に

文句一つ口にしたことのない姉だったが


本当に幸せだったのだろうか




心配をしていないと言ったら嘘になるが
このまま戻らない方が幸せなのでは・・と
不謹慎なことを考えてしまう自分に思わず苦笑する



今は外界から隔てられたこの学園で
束の間の自由を味わうことにしよう







――おっと、ジェイミー
こんなところでどうした?


誰か待ってるのか?



ワイラー先輩・・?ああ、ルークか・・
入学式の手伝い?



でも、あれは、ブレアが担当じゃ・・



まあ、何だかよくわからないが
ルークに仕事を押しつけられそうになったら
うまく逃げろよ


オレの名前を出してもいいから



じゃ、頑張れよ
10:13 (30ago)アルフレッド comments(0) trackbacks(0)
Open Campus



なんだよ、ランディ
まだ怒ってるのか?
あれは、冗談だって・・・

ミス・プライスには、きちんと事情を説明して
謝っただろう?

そんな風に睨むなよ
反省してるって・・


それより、今年のプリンセスは見事に粒揃いだったな


ああ、オレを選んでくれた子達だろ?
もちろん、覚えてるよ


まずは、新入生のカティーナだろう?
艶やかなロングヘアーの上品な美人だったな


それから、同じく新入生のマイルズ
女の子みたいにかわいい少年だったな
顔を真っ赤にしてさ・・・
ここの寮に入ったら、喜んで面倒を見るよ


後は、見学者の女性二人か・・
こちらは名前をきく暇もなかったな・・
綺麗な人だったけれど・・勿体ないことをした
今度はぜひ学園外で会いたいな


何だよ、ランディ
変な顔して・・
よく覚えてるって?
そんなの当たり前だろう

美人は忘れないんだ


こらこら、チャールズと一緒にするなよ
あいつの場合、美人な女性の名前しか覚えないんだ
オマエだって、お世話係だから名前を覚えられているだけで・・

それにしても、長いようであっという間の一日だったな

これで新学期が始まるまでは
また平穏な日々が戻ってくる


さて、オレは夏休みを満喫するために
ちょっと昼寝でも・・

課題?
そんなの、新学期ギリギリにやればいいんだよ

いざとなれば、アルマンのノートを・・
おお、そうだ、ランディ!
アルマンの部屋から課題のノートを取ってきてくれよ

オマエ、アルマンのお世話係と友達だろう?


おい!
ちょっと待てよ、ランディ!
おいってば!!

17:56 (30ago)アルフレッド comments(0) trackbacks(0)
dignity



来期新入生と保護者のためのオープンキャンパスが
数日後に迫っている


当然、生徒を代表する監督生の一人として
山ほど仕事が与えられるはずだったのだが―


どうやら、ミス・オーウェンは先日の一件について
まだ忘れていないらしく


今回、自分に課せられた責務は
問題を起こさず、寮でおとなしくしていること



都合が良いと言えば、都合が良いのだが


自由奔放なチャールズはさておき
そろそろ勘の良いアルマン辺りが気づくのではないか・・



鏡に映った臀部の痣―

治癒してきている証拠とはいえ
青黒く変色しているのは見た目に痛々しい


ミス・オーウェンもなかなか容赦がないな


―思わず苦笑した






――誰?


ああ、ランディ・・ちょっと待ってくれ
今、着替えている最中なんだ・・



いや、さっき、花瓶の水をこぼしてな
おかげで下着まで・・




お待たせ

で?何だって?


チャールズを見かけなかったかって?
いや、見ていないが・・


約束?
あいつと・・?


アハハハ・・
あいつが、そうすんなり約束を守るとでも思っているのか?


ランディ、オマエ、あいつのお世話係を
三年もやっているんだろう?

そろそろ気づけよ・・


そう、怒るなって・・
まともに相手をしているとバカを見るぞ



ああ、そうだ
いいことを思いついた


なぁ、ランディ

ちょっと耳を貸せよ



チャールズの奴にひと泡吹かせてやろうぜ

10:20 (30ago)アルフレッド comments(0) trackbacks(0)
distrust


窓辺に椅子を置き
しとしとと降る雨音に耳を傾けながら
ゆっくりと目を閉じる



外から漂ってくる甘く爽やかなラベンダーの香りが
鼻腔をくすぐる



昔は苦手だったこの香りが
今は、このささくれ立った心を癒してくれる



ラテン語でLavare(ラワーレ)と呼ばれるこの花には
『洗う』という意味があるらしいが・・



この雨とラベンダーが全てを洗い流してくれれば・・・




ふと窓の外を見ると
鮮やかな色の鳥が大木の枝にとまっているのが見えた



この雨では鳥も大空へはばたくことができない



まるで、今の自分のようだ



勇気を出して飛び立ってみても
雨水を吸い込んだ翼はいつかその重みに耐えきれず
はばたくことをやめ、落ちていく



だから、今はいつ止むともしれない雨が上がるのを
木の下でじっと待つだけ



待っていれば、雨はいつか止むのか・・?


本当に・・?









―― やぁ、アルマン!どうしたんだい?



チャールズ・・?
いや・・そういえば、今日は見てないな



オレ?ああ、ちょっと、うとうとしていたところさ



具合なんて悪くないから大丈夫だって
昨日夜更かししたせいか眠くてな・・・ふぁああ・・



わかった
チャールズを見つけたら報告するよ




ああ、アルマン・・・!




いや・・何でもない

がんばれよ、監督生殿
10:29 (30ago)アルフレッド comments(0) trackbacks(0)
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