学園と寮での生活について綴った日誌
過ごした時間


残り僅かな学園生活、か−−−。

思えば、僕の人生かなりの部分がこの学園と共にあった。

日々沢山の知識を身に付け、度重なる困難を乗り越え、

友と呼びたくもないような学友も、ここでの生活で得たものだ。

まぁ、ここ最近の度重なる困難のほとんどは、言うまでもなく、

僕以外の監督生の二人から僕へのプレゼントだったわけだが・・・。



−−−考え事をしながら歩くものじゃないな。

音楽室−−−こんな所に用は−−−。



『ランディ達と肝試しをしようって話になってさ
昨日の夜、皆で音楽堂に忍び込んだんだ


そうしたら・・・誰もいないはずの音楽堂から
チェロの音色が・・・・』



昨日聞いたアルフレッドの言葉が蘇る。

・・・フンッ、そんな馬鹿なことがあるわけないだろう。

ほら見てみろ、何も起こらないじゃないか。



「これも・・・そうか、馬鹿なことの一つか。」

可笑しいとも嘲笑ともいえない笑い、

これが僕なりの、学園への思い入れというやつか?

・・・フンッ。



さて−−−、

そろそろ、向かうとしよう。

僕の目的地へ。僕の−−−進むべき道へ。
18:35 (30ago)アルマン comments(0) trackbacks(0)
サロンでの再会


優雅にお茶を啜りながら
サロンのソファで寛いでいるチャールズとアルフレッド
その2人を前にし、監督生の仕事内容と状況、今後の予定を述べ上げる

この作業は本来、『監督生同士の打ち合わせ』という名目ではあったが
今では僕からの報告でしかなくなっていた

一通り話し終えた後、
嫌みの一つでも言ってやろうと2人を見据えたのだが
「じゃあね、おやすみ」と輝くように微笑みながら
自室へ消えたチャールズに毒気を抜かれ、
疲れだけが際立たされる


「つらいな‥‥」


忙しいのは嫌いじゃない
けれど、
それを理由に先延ばしてきた問題を
もうそろそろ定める時だと決めた瞬間から
僕は焦り始めていた

何かに悩み、考えながら行う仕事は効率も悪い
しかし、容易に決められる事ではなくて―――

眼鏡を外し、レンズを拭く
その時、サロンの入口から声をかけられた


「‥‥ユーン先輩」


独り言を聞かれたかも知れない可能性を危惧し、居心地悪く戸惑う
しかし、そんな素振りは微塵も見せず
気さくな笑顔で「久しぶりだな」と肩を叩かれた

ここの卒業生で、元監督生
後輩の面倒見も良くて、僕も模範にしたい人の一人、ユーン先輩



この人に相談してみようかと考えながら

僕は深く一礼した
15:47 (30ago)アルマン comments(0) trackbacks(0)
見据えた夢



太陽によって浄化されたかのような澄んだ空
優しく照らされた学園内の廊下を一人歩く

右手に持っていたファイルと本数冊を持ち直した時

「将来、もう決めたか?」

夏期休暇から早めに戻ったらしき生徒数人の群れが、僕とすれ違い
不意に聞こえた、その会話の内容にドキッとした


将来

僕は‥‥


名家が多いこの学園内では、家督を継ぐという宿命の者が殆どだろう
しかし、幸か不幸か、兄が居る僕にはその選択肢は無い

フワフワしている様で、チャールズも静かに将来を見据えているし
アルフレッドも自分なりに考えた決意と目標がある様だった


僕は‥‥
僕には何が出来て、何になりたいだろう?


持っていたファイルに紛れた、一通のハガキに目をやる
それは、ロバートからの、健気で可愛らしい内容のハガキだった


忙しさを理由に、先延ばしてきた答えを
そろそろ導き出さなくてはならない




僕がやりたい事 居たい場所は―――

11:17 (30ago)アルマン comments(0) trackbacks(0)
恒例と異例



「さて、次は‥‥」

一つ一つ仕事を終わらす毎に、そこへ新たな用事が加わり
片付ける傍からどんどん増えていく


今日は何時に眠れるのだろう‥‥


まさに今なら猫の手も借りた―――いや、
チャールズとアルフレッドの手も借りたいとさえ思ってしまう

いや、そもそも、彼等のあまりの奔放プリから忘れがちだが
我々3人での監督生だ
本来ならば分担されていたはずの仕事を
僕が独りでこなしている事自体が可笑しいのだ

彼等の部屋へ文句と分担を伝える為、歩き出す
しかし、5歩程歩いてからクルッとUターンした


駄目だ‥‥


彼等に仕事を分担したからといって
結果的に僕の仕事が増えるだけの恒例パターンを思い出し、考え直す

休暇中に終わらせなければならない仕事と
また、休暇明けの行事の準備
僕個人的にしておきたい予習や、備えておきたい仕事もある

山の様に積まれた仕事を何事も無く行う為には
むしろ彼等には大人しくしていてもらおう

考えを改め、僕は図書室へ向け歩き出した

しかし、4歩程歩き出した所で、またクルッとUターンをする

廊下の前方にMiss.オーウェンを見付けたからだ
新しい仕事が追加される事を危惧して、僕は目的地を変更した




たまには、許されるだろう 
11:06 (30ago)アルマン comments(0) trackbacks(0)
失態



よく晴れた日の昼下がり

Miss.オーウェンから言い付けられた所用を終え
学園内にある小さな木陰のベンチに腰を降ろす


「はぁ、僕とした事が‥‥」


チャールズとアルフレッドと一緒にふざけていたせいで
Mr.エリスンに叱咤されてしまった

2人がMr.エリスンのモノマネをし始め
くだらないと思いながらも
そのモノマネがあまりに似ていなかったもんだから、つい
自分も参加してしまって‥‥


「まさかその場に、Mr.エリスン御本人が現れようとは‥‥」


間が悪い上についてない
この名誉挽回はまた別の機会に計るとして‥‥

とりあえず


「一番似ていたのは、間違い無く僕だろうな」




報復として、今度は僕から仕掛けてやろう

後ろから まずはチャールズに

勿論、Mr.エリスンのモノマネをしながら

09:25 (30ago)アルマン comments(0) trackbacks(0)
問題



太陽が真上を過ぎて傾き出した午後
日射しとその影との差が激しく、眩しい因子がぶつかり合う教室で独り
誰も居ない事を確認して、眼鏡を外した


「疲れた‥‥」


先日のオープンキャンパスの疲れがまだ癒えない

皆、予想以上によく動いてくれて、無事閉門となったのだが
オープンキャンパスとは別件で浮上した、僕個人の問題がいくつか


アルフレッドと話した、将来の事
普段ふざけている様だが、あれでいて色々と考えているらしく
「夢」について少し話を聞いた
そして、僕の将来についても‥‥

らしくもなく心配そうだったアルフレッドの、あの表情を思い出し
小さく笑う


「後で紅茶でも持っていってやるとしよう」


まだ綺麗には消えて無いであろう痣の為に、薬も添えて



それと、気になるのがチャールズの弟、ロバートの事‥‥

僕に嫌われたと悲観しているらしいが
あの子が悪戯の天才だからって、嫌いになる理由にはならない
チャールズに伝言を残したから、そう心配する事も無いだろうが‥‥


頭痛が和らいだ事を確認し、眼鏡をかけ直した時
チャールズの机の上に、彼が置き忘れたのであろう教科書を見付けた
溜め息と一緒にそれらを持ち、教室を後にする


伝言が伝わらない可能性を危惧して
今夜辺り、あの子に手紙でも書くとしよう


幼いあの子でも理解し易い様

包み隠さない言葉で、丁寧に、簡潔に



――――「君を 誰よりも大切に想っているよ」と

13:18 (30ago)アルマン comments(0) trackbacks(0)
誠心誠意の歓迎を



もう外は薄暗く、日も暮れ始めている
蝋燭をつけて回るミス・プライスとすれ違い、会釈をしてサロンに入った


「皆!ちょっといいかな」


各々、自由な時間を楽しんでいたであろう生徒達を声で一括する


「明日はついにオープンキャンパスです。
 仕事は事前に分担してあるので各自確認済みかとは思うが
 新入生、また来賓の方々に失礼のないよう改めて―――‥‥」


事務的な連絡を述べていると、どこからともなく唸る様な低い音が聞こえた
次いで気まずそうに笑いながら、ルークが頭をかいている


「ルーク‥‥明日は、お客さまの前でお腹が鳴らない様に気を付けたまえよ。」
「グレン、君もさっきから何処を見ているんだい?」
「ランディ、君は基本的にはしっかりしているが
 周囲に振り回されない様、気を付けたまえ。」
「ジェイミー、そんなに不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ。」
「ブレア‥‥君は心配無さそうだね。宜しく頼むよ。」


それぞれに明日の確認と注意事項を念押しした後、サロンの扉の前に立ち全員を見渡す


「新入生、来賓の方々にとっては、我々がこの学園の第一印象になります。
 それを忘れない様に、そして焦らず大らかに、お客さまのお相手をお願いします。」


「はい!」という元気のいい返事に頷いて、サロンを後にする

明日はヴェルニエ先輩も顔を出してくれるというし
不安要素は色々あるが、何とかなるだろう


―――さて、チャールズとアルフレッドを捕まえるには‥‥


最大の不安要素2人の事を思い出し、大きく溜め息をついた

絵画が並ぶ廊下に立ち止まり
恒例となっているイタチごっこを少しでも効率良く済ます為、思考を巡らす


「まずは部屋だな‥‥」


眉間にしわを寄せたまま、揺らぐ蝋燭の明かりを横目に再び歩き出した





ついに明日だ―――
この学園の華である君達2人が居ないと、始まらないのだよ



チャールズ、アルフレッド―――‥‥

18:04 (30ago)アルマン comments(0) trackbacks(0)
眩しい日々


サロンのソファにて、書類をファイリングしながら一息つく
午後の空は綺麗に晴れ上がり、細工窓からは初夏の清々しい光が注がれている

だが、外界の眩しい様子とは相反し、僕の機嫌は最悪だった

監督生に選ばれてからというもの、休む間も無く毎日が忙しい
監督生は3人も居るというのに、何故こんなにも忙しいのか
答えは簡単、僕以外の監督生2人が全く仕事をしないからだ

監督生の1人、自由奔放で悪戯が大好きなアルフレッドは
先ほど飄々と僕の様子を見に来たが
ミス・オーウェンに見つかりそうになり走って逃げていった
また何か仕出かしたらしい‥‥

そして僕は今、もう1人の監督生
チャールズと待ち合わせをしていたはずなんだが―――


「21分30秒‥‥」


チャールズの遅刻時間記録は今回も更新される様だ

その時、何となく眺めていた外の景色の中に、輝くブロンドを見つけた
彼の存在は目立つ上に、周囲を何人かの女生徒に囲まれている

サロンとは逆方向へ歩いていく様子に


「またか」


と、約束自体を忘れている事を予想し、ため息をつく




今日は何と言って チャールズを咎めてやろうか―――

最近、たまに遠くを見て物想いに耽るアルフレッドの事も気になる‥‥




考えながら、僕はまたファイルに目を落とし
結局、あの2人には甘い自分に気付いて笑った
16:29 (30ago)アルマン comments(0) trackbacks(0)
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