学園と寮での生活について綴った日誌
真実と共に。



ミス・キャニングが留守であるこの時間帯の図書室は
生徒の姿は殆んど見受けられない。

光に当たり、ちらちらとはねる埃を
さも目前で見ているように錯覚した。
知らず顔をしかめる。


そして。


いつも自分の気分を苛つかさせるものを部屋の隅に見つけた。


「や、やぁ・・・っ」


相変わらず、鈍くさいというのか なんというのか・・・
その人物は怯えたように引きつった笑顔で挨拶してきた。

表情に変わりないのは何時ものことだが、今日は多少疲れているらしい。


存在感のうすい彼がじっとしていると、本当に置物のようだと思う。
声を掛けられなければ、ずっと気づかなかったに違いない。

何処まで自分の行動を目撃されていたのかと考えると、
さらに腹立たしい。


(もっと早く声をかければいいものを・・・)


『何の用?』

いつから部屋にひそんでいたのかは知らないが、
新学期最初の試験にむけて勉強中だったはずだ。

そうそうぼんやりもしていられないんじゃないか?
不機嫌さも隠さずそっけなく言う。


「休暇後の新学期だから・・・」


『フッ、面倒事が押し寄せるわけだ。』


「う、うん・・あまり抜け出してくるわけにもいかないんだけれど・・・」


どうもはっきりしないその物言いに深く溜息をつく。


『オルグレン先輩、避難する場所なら他を当たってもらえますか?
 そこにいられると、気が散って迷惑なんですけど。』


「あ、あのさぁグレン・・・!

 この前、どこに行ってたの?
 まさかとは思うけれど・・っ」


バスンッ!!
バタタ・・・


本棚に収めかけていた本達を手元にもどし

頭上まで振り上げて

相手の目の前に落とした


「あ・・・・」


無言の睨みに、また退くように縮み込んだ。

これほどまでに気持ちを逆なでされる相手はそういない。


「ご・・ごめん・・・
 何でもない・・・・・・」


『そう・・だったらソレ。

 片付けておいてよ・・・―――先輩。』


カーテンからのぞく夕暮れのオレンジ色が強く部屋に差し込む。


その光で
皮装丁の分厚い本に刻まれた表紙の文字が
より一層深く浮き上がって見えた。

18:44 (30-27ago)グレン comments(0) trackbacks(0)
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