学園と寮での生活について綴った日誌
季節の序章



三方が森に囲まれた音楽室の窓の外では、
この国では珍しい薄桃色の小さい花びらが風に舞う


季節はずれの遅い春。

気候が不安定な4月の冬を越えたためか
温暖の差の激しい今年は随分と遅咲きだ。

レースのカーテンが風をはらんで揺れる

そして。

屈折した厚めのガラス越しに
いまだ夢の中にいるだろう彼を見た。

薄暗く、光もろくに入らないこの部屋は
西日を浴びいつになく日差しで目が痛い

そのせいだろうか

日溜まりの中で樹の根に腰を下ろし、
反射する髪が透き通って見えた。



「はぁ…」

時計の針を一瞥し背を向け、
同時にらしくない溜息が漏れる


このまま起こしても目が覚めるのは時間の問題だ。

まったく何の為の練習なのか
呆れ果てるとは正にこの事だろう。


この後は…確か朝にティータイムの約束をしていた。
取り寄せたばかりの最高級のダーリン・ファーストフラッシュ。


予定の時間よりも一時間早いが関係ない。


独特な古紙の匂いに溢れているあそこならーーー


(まず間違いなくいるだろう…)

うつむいて小さく笑う。


広げていた楽譜を重ね鍵の束を掴むと
軋む床板の音が扉へ向かった。

14:58 (30-27ago)グレン comments(0) trackbacks(0)
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